政治の“いろは”:政界は「隔世遺伝」
 自民、民主両党ともリーダーの多くは世襲議員だ。自民党では非世襲の実力者といえば古賀誠元幹事長、亀井静香政調会長ぐらいだろう。小泉純一郎首相をはじめとする3代目も少なくはない。「自民党をぶっ壊す」などと叫ぶ“捨て身”が身上の小泉首相だが、戦前、憲政会などで幹事長を勤めた祖父、又次郎氏の気質を引き継いだからと言われている。防衛庁長官を務めた父、純也氏は入り婿だったことも影響しているかもしれないが、間違いなく「隔世遺伝」だ。
 毎日新聞の「いま首相を選ぶとしたら」調査では、小泉首相を抜いてナンバーワンに選ばれた安倍晋三幹事長代理の母方の祖父は、60年安保時の岸信介首相だ。「彼はオヤジ(安倍晋太郎元外相)よりも爺さんの血が濃い」が中曽根康弘元首相の月旦評だ。
 母、洋子さんは著書「わたしの安倍晋太郎」の中で「安保のときの岸信介のようすも子どもながらにみております。安倍寛(晋太郎氏の父)の血といい、岸信介の血といい、なにかのときは命がけで事に当たるというきびしさは、ものの本で読んだというのとは違って、身近な空気として体得しているということはあると思います」と、安倍幹事長代理における隔世遺伝の実態を証言している。
 細川護熙元首相は戦前の近衛文麿元首相の外孫だ。民主党鳩山由紀夫元代表の祖父は鳩山一郎元首相だ。「中2階」とも呼ばれている「士志の会」の1人、麻生太郎総務相吉田茂元首相の外孫。
 政治家の血筋ではないが与謝野馨政調会長も「隔世遺伝」の持ち主といえる。祖父、鉄幹も祖母、晶子も有名な歌人だ。鉄幹は一時期、政治家志望で、戦前の総選挙に出馬し、落選した経歴の持ち主だ。「文才ではかなわないが、祖父の夢を実現した」が与謝野政調会長の自慢だ。
 谷垣禎一財政相の母方の祖父は影佐禎昭陸軍中将。その名から一字をもらい受けた禎一と命名された。大平正芳政権で文相だった父、谷垣専一氏は影佐中将を偲び、こんな一文を残している。
 「影佐が中日戦争の収拾について如何なる見解を持ち、いかなる行動をしたかは、その同志の方々からの記述があろう。若しその運動が功を奏していたならば、日本の歴史も、アジアの歴史も今日とは異なった展開をしたであろうと残念至極である」
 誰もが父親からは大きな影響を受けているが、時には「反面教師」にもなる。政治の世界でも同じだ。その点、年齢が大きく離れている祖父は、物心つく頃には社会でそれ相当の地位を確立しており、憧れの対象になりやすい。政治の世界で「隔世遺伝」が顕著な理由をこう分析するのだが・・・。(2005年4月19日毎日新聞

 岸信介政権 Web東奥/ニュース百科2005年6月2日(木)
 第2次世界大戦中に商工相を務め、A級戦犯での起訴を免れた岸信介が、病気辞任した石橋湛山首相の後を継ぎ1957年2月から60年7月まで率いた自民党政権。60年に日米安全保障条約を改定。審議を尽くさず条約批准を強行しようとしたとして批判を浴び、全学連などの安保闘争で混乱。条約発効の翌月に岸内閣は総辞職し、池田勇人が後任首相となった。死後、反共的な政治信条で知られた岸への米中央情報局(CIA)からの資金援助が明らかになった。(ワシントン共同)

 中山文科相愛国心教育の重要性を強調…日教組批判も 中山文部科学相は11日、静岡市内で開かれたタウンミーティングで、「正しい歴史教育と国旗・国歌に敬意を表することが大事だ」と述べたうえで、「(愛国心を)子供に植え付けるには、親が子供を大事にすること、子供たちが親に感謝する気持ちを持つことだ。ふるさとを愛し国を愛する心、日本を守っていかなければならないという意識が生まれるのではないか」と、愛国心教育の重要性について言及した。
 その一方で、4月に中国で反日デモが相次いだことを例に挙げ、「過激な愛国教育はいけない」とも述べた。
 また、「戦後の教育は、日教組の影響が強すぎて、日本をダメな国と教えすぎたこともある」と戦後教育を批判した。(2005年6月11日20時14分 読売新聞)