「人身取引」事件が最多 ブローカー摘発は3倍増 昨年1年間に全国の警察が摘発した外国人女性の「人身取引」事件は前年比28件増の79件、摘発人数は同17人増の58人で、現在の形で統計を始めた2001年以降では最も多かったことが14日、警察庁のまとめで分かった。
 取引を仲介したブローカーの摘発は23人で、前年の3倍近くに上った。人身売買罪を新設した改正刑法は今国会での成立が確実となっており、警察庁は「改正法も適用してブローカーを中心に摘発を強化したい」としている。
 被害に遭った外国人女性は77人で前年より6人減少した。国籍や出身地域別ではタイが最も多く48人。次いでフィリピン、コロンビア、台湾の順に多く、ホステスやストリップ嬢などとして働かされていた。
 現時点で人身取引そのものを取り締まる法律はなく、全国の警察は売春防止法入管難民法職業安定法などを適用。10代のタイ人女性が500万円の借金を負わされ、売春させられていた事件もあった。
 人身取引をめぐっては、米国務省が昨年6月に発表した年次報告で、日本を「監視対象国」に指定。政府は同年12月、人身売買罪の新設などを盛り込んだ「人身取引対策のための行動計画」を策定した。(東京)

 君が代の声量、広島県教委が報告求める 日の丸不起立も(朝日2005年04月13日07時47分)
 今春の卒業式、入学式での「日の丸」掲揚と「君が代」斉唱について、広島県教育委員会が県内の公立学校長に対し、斉唱の際の声の大きさや不起立だった児童・生徒、教職員の概数を報告するよう求める通知文書を出していたことが明らかになった。県教委はこの報告に基づいて起立しなかった教職員らを処分したという。
 県教委によると、通知文書は1月、県立高校や公立小中学校など約1000校の校長に出された。「国旗・国歌実施状況」「教職員の服務状況」「教職員への対応記録」について、式後1週間以内の提出を指示している。
 「君が代」については「式場内に響き渡る歌声であった」「響き渡るとはいえないが、歌声は十分聞こえた」「歌っているとはいえない歌声であった」の三つから選択。不起立の教職員や児童・生徒の概数も記入することとされた。
 「服務状況」では、従わなかった教職員の名前のほか、学校側がどう対応したかを時系列で詳細に記すよう求めた。
 さらに、通知文書には「留意事項」も添付し、式終了後までの校長の行動を27項目にわたって記載。校長が職務命令として「国歌斉唱の際には起立してください」と職員会議などで複数回発言する▽起立しなかった教職員にはその場に駆け寄り、「起立してください」と周囲にも聞こえるように発言する――などを求めた。
 県教委は98年、「日の丸」掲揚や「君が代」斉唱の実施率の低さなどから旧文部省の指導を受け、翌年2月に県教育長が県立学校長に掲揚と斉唱を義務づける職務命令を出した。教職員の処分が始まった01年の卒業・入学式では延べ301人が戒告、文書訓告を受けた。昨年は10人、今春の卒業式では11人が処分を受けている。
 県教委指導1課の二見吉康課長は「式で校長が混乱しないよう以前から通知している。学習指導要領にのっとった通知と考えている」と話す。
 卒業式、入学式での「君が代」斉唱をめぐっては、福岡県久留米市教委が04年、児童・生徒が歌う声量を大、中、小の3段階で小中学校の校長に評価させる調査を実施。しかし、「目標は達成された」などとして今春は取りやめた。
 また、東京都町田市教委は昨年末、児童・生徒が校歌などと同じ音量で歌うよう事前に指導することを定めた通知を市内約60の小中学校長に送付したが、当日の声の大小の報告までは求めていない。