教育について。

 発信箱:丸暗記礼賛 潮田道夫(論説室)
 世界でもっとも有名な女性経営者といえばヒューレット・パッカードカーリー・フィオリーナ会長だろう。米スタンフォード大学ヘーゲルを専攻した。
 彼女が友人の日本人社長にいうには、学生時代は毎週2000ページずつ文献を読んだそうだ。日曜もふくめ毎日、専門書を1冊は読まないとこの枚数にならない。
 野口悠紀雄青山学院大教授によれば、英語の勉強は教科書を音読して丸暗記するのが一番だという。英文法で分析的にやるより、丸暗記で文例をどんどん詰め込むほうがよほど効果がある。
 漱石は「硝子戸の中」で年長の兄たちの英語学習法について語っている。「(英語の)下読といったところで、今の書生の遣(や)るのとは大分違っていた。グードリッチの英国史といったような本を、一節位ずつ読んで、それからそれを机の上へ伏せて、口の内で今読んだ通りを暗誦(あんしょう)するのである」。明治の秀才たちは野口方式だった。
 丸暗記詰め込み方式の功徳はパソコンに及ぶ。最近の英語翻訳ソフトは丸暗記方式らしい。石井健一郎コミュニケーション科学基礎研究所長によれば、パソコンに例文を大量に詰め込みそのなかから適合しそうな例文を抽出し手直しさせる。その方が文法書を参照して翻訳する従来方式より成績がいい。
 石井氏は「量」が「質」に転化する好例だという。なるほど弁証法であったか。人間の頭もそうではないか。丸暗記や詰め込み教育の弊害をいうが、その前に日本のどこでフィオリーナ詰め込み教育が行われているのか。あれば行って万歳でたたえたい。(論説室)毎日新聞 2004年12月24日 0時13分

 学力向上の取り組み徹底を
 会議では、中山文部科学大臣が国際学力調査で、日本の子どもたちの学力の低下が明らかになったことについて「学力低下とともに子どもたちの学習意欲が弱いという結果を厳しく受け止め、原因を詳しく分析したうえで、世界トップレベルの学力を目指さなければならない」と述べました。そのうえで、▽子どもたちが学ぶ内容を示した学習指導要領の見直しや▽全国的な学力テストの実施など文部科学省としての方針を示すとともに▽学校5日制の中でもできるだけ授業時間を確保したり▽習熟度別の授業を進めたりして、各自治体でも子どもたちの学力向上に向けた取り組みを徹底するよう求めました。会議に出席した和歌山県の小関洋治教育長は「日本の子どもたちは、家では勉強をしないということなので、家庭とも連携をした学力対策を市町村の教育委員会とともに考えて行きたい」と話していました。また、京都市門川大作教育長は、「かつての詰め込み教育に戻るのではなく、子どもたちの思考力を養うために授業の改善や教員の指導力の向上などを進めることが必要だ」と話していました。(NHK12/24 18:08)