産経の主張から

 ■【主張】学力急落 中山文科相の指導に期待
 日本の高校一年生の学力が世界の中でも急落していることが、経済協力開発機構OECD)の国際比較調査で分かった。文部科学省が推し進めてきた「ゆとり教育」の無残な結果である。
 特に落ち込みが激しかったのは、読解力だ。三年前の前回調査では八位だったが、今回は十四位で、日本の平均点は世界の平均点を下回った。数学的応用力も、一位から六位に下がった。読解力も数学の応用問題を解く力も、基本は国語力である。国語教育の充実を改めて求めたい。
 平成十四年度からの新学習指導要領で、国語や算数など主要教科の授業が大幅に削られ、代わって導入された総合学習の時間に、小学生の英会話やコンピューター、環境教育が行われている。新しい授業をあえて否定しないが、それよりも国語が大切だ。
 読解力テストで、日本の生徒の点数を六段階評価に分けると、最下位レベル(1未満)の割合が増え、「できる子」と「できない子」の学力格差が広がっていた。「できる子」が塾や予備校で学力を補っているのに対し、「できない子」は下校後ほとんど勉強していないからだとされる。
 それにしても、日本の公立学校の先生は一般公務員より高い給与をもらっていながら、何をしているのか。すべての先生がそうだとは言わないが、勤務時間中の組合活動などに時間をとられ、本業の教育をおろそかにしているケースが少なくない。
 今回の調査で、授業以外の宿題や自習に費やす時間について、日本の生徒は週平均六・五時間とOECD平均の八・九時間を下回った。別の民間教育機関(日本)の調査で、「学校の宿題があれば、子供は家で勉強する」というデータもある。昔の先生のように、宿題くらいは出したらどうか。
 OECD調査について、文科省内には「一喜一憂すべきでない」との声もある。これに対し、中山成彬文科相は「学力が低下傾向にあることをはっきり認識すべきだ。日本が停滞している間に中国など近隣諸国が追い上げ、日本は東洋の老いた小さな国になってしまう」と憂慮の念を示した。
 今なお反省の姿勢が見られない一部の旧文部官僚らに対し、中山新文科相の思い切った指導を期待する。

 一方ではオリンピックでたくさん金メダルが取れるように育成体制を強化したり、また一方ではノーベル賞が取れるような人を育成したり、また一方では平均点が上がるようにみんな一斉に競争させようとしたり、また一方では、みんなが英語ができる国際人を育成したり、また一方では読解力がつくように読書させたり、暗唱させたり、また一方では人の痛みが分かるように奉仕活動をさせたり、また一方では愛国心がつくように国旗国歌を強制したり、…なんだか矛盾するようなことばかりのような気がする。
 そして、またこんな発言が…

 サマワに行けば人間性直る 犯罪凶悪化で自民・武部氏
 自民党武部勤幹事長は9日午後、都内の講演で、犯罪の凶悪化や教育現場の荒廃に関し「憲法教育基本法を改正しても簡単に(状況は)変わらない」と指摘した上で「暴論かもしれないが、一度自衛隊に入って、サマワみたいなところに行って、緊張感をもって地元に感謝されながら活動したら3カ月で瞬く間に(人間性が)変わるという考え方もある」と述べた。
 一方、先に視察したサマワがあるムサンナ州警察本部長が武部氏らから会談の申し入れがなかったと批判していることに対し「ぬかっていた。そんなに自治警察が整備されていると思っていなかった」と釈明した。(共同通信) - 12月9日17時43分更新

 6日の毎日新聞の余録より。

 余録:「メーリさんの羊、羊、羊……」。軟らかい錫…
 「メーリさんの羊、羊、羊……」。軟らかい錫(すず)の箔(はく)をはった円筒をハンドルで回しながら、男は大声で童謡を歌った。それを元に戻して再び回転させると、その歌が聞こえてきた。周りの人々は息をのみ、歓声をあげた。蓄音機が生まれた瞬間だ。男の名はもちろん発明王エジソンだ▲1877(明治10)年のきょう12月6日のこと。この日を日本オーディオ協会は「音の日」に制定している。この発明は大変な評判を呼び、一目見ようと研究所に押しかける人のために特別列車が出るほどの騒ぎになった▲当時、エジソンは30歳。成功の理由を「耳が悪かったから発明できた」と答えている。ピアノに抱きつくようにして音楽を楽しみ、音が振動だと体に刻んでいたから、地震計のように音も記録、再生できるはずだと考えた。いわば難聴だったからこそ、誰も試みなかった音の再生に挑戦し、成し遂げた▲エジソンはまた注意欠陥多動性障害ADHD)だったといわれる。特定の対象に注意が向くと、他のことを考えられなくなる。逆に見れば、それは目標に向けて自らの行動を徹底する力にもなる。3カ月で小学校から離れた彼は、幸いにも母親の理解によって支えられた▲そのようなADHD学習障害(LD)などの「発達障害」は、文部科学省の調査で全国の小中学生の6・3%に可能性があるという。その早期発見と地域で支援するための「発達障害者支援法」が先の国会で成立した(来年4月施行)▲多くの人が程度の差はあれ、さまざまな障害をもっている。どのような子にも未知の才能を信じ、しっかりと伸ばす社会でありたい。エジソンが、障害を特長に転化させた「音の日」は、困難を抱えた子供たちの声に耳を傾ける日でもある。(毎日新聞 2004年12月6日 東京朝刊)

 人それぞれが自分の持つ能力を最大限に発揮できるような教育とは一体どんなんだろうか。