学力低下

 最近『ニート』という言葉を見ない日はなく、何紙かは特集を組んでいる。その中で産経の主張は…

■【主張】若年無業者 子供の時から勤勉教育を

 最近、高校や大学を卒業しても働こうとしない若年無業者が増えている。「ニート」(NEET=勉強も仕事もせず職業訓練も受けない若者)と呼ばれる。将来の国力衰退につながりかねない深刻な問題である。
 少し前までは、アルバイトを転々とする「フリーター」が社会問題となっていた。フリーターの中には、希望する職種に就けず、やむを得ずアルバイトをしている若者もおり、働く意思は持っている。これに対し、ニートはアルバイトもしない若者のことだ。
 昨年、ニートは五十二万人(前年比四万人増)、フリーターは二百十七万人(同八万人増)に達した。政府は厚生労働省文部科学省などの担当者を集めて戦略会議を開き、来年度から働く意欲を喚起させる若者自立塾の創設などの事業を展開する方針だ。
 このような施策も必要だろうが、大人になってからでは遅い面もある。小さいころから、学校や家庭で勤勉の大切さをはぐくむ教育が大切である。
 民間教育シンクタンクの調査で、中学生の三人に一人が家で全く勉強していないことが分かった。これらの中学生は、今後の進路指導を誤ると、ニートになる懸念がある。戦後の児童中心主義の教育観や旧文部省の「ゆとり教育」の弊害がここへ来て、至るところで表面化しているといえる。
 勤勉は日本人の美徳だった。かつては、江戸時代の篤農家、二宮尊徳(幼名・金次郎)の銅像が多くの学校に建てられ、その伝記を通して学問や勤労の大切さが子供たちに教えられた。以前の教育をすべてよしとするわけではないが、こうした先人の教えは今の子供たちにも語り継ぎたい。
 英国のサッチャー政権は一九八八年、教育改革法を制定し、学力向上のための国定カリキュラムや全国共通テスト、学校監査などを実行し、英国病の克服に成功した。米国では一九八三年、学力低下を懸念する報告書『危機に立つ国家』が発表され、その後の学力向上策はブッシュ政権の「落ちこぼれをなくす法」(二〇〇二年)などに受け継がれている。
 急増するニートやフリーターの問題は結局、教育問題である。日本も欧米に学び、抜本的な学力向上策を早急に確立する必要がある。

 ここでもやはり『戦後の児童中心主義の教育観や旧文部省の「ゆとり教育」の弊害がここへ来て、至るところで表面化しているといえる』と結論づけている。靖国問題でもそうであるが、なぜ自分達が絶対正しいといえるのだろうか。
 折りしも今日、恒例の次のような発表があった。

 高1学力、世界トップから脱落 数学6位 読解力14位 OECD調査

 経済協力開発機構OECD)が四十カ国・地域の十五歳を対象に実施した「生徒の学習到達度調査」(PISA=ピザ)の結果が七日、公表された。日本は、四分野のうち、「総合読解力」が前回の八位から十四位に低下。「数学的応用力」や「科学的応用力」は「トップクラス」を維持したが、全体として学力低下を裏付ける結果に。文部科学省は「日本の学力は最上位とはいえない」と世界のトップからの陥落を認めた。
 調査は三年ごとに行われ、今回が二度目。二十七万六千人を対象に実施され、日本では昨年七月、高校一年生約四千七百人が「総合読解力」「科学的応用力」「数学的応用力」の主要三分野と「問題解決能力」のテストを受けた。
 「総合読解力」は四九八点でスイスに次ぐ十四位。「加盟国平均と同程度」(文科省)に沈んだ。「科学的応用力」は二位で変わらず。前回一位だった「数学的応用力」は六位に落ちたものの「統計上の誤差の範囲内でトップグループ」(国立教育政策研究所)。今回から調査項目に加えられた応用力を横断的に試す「問題解決能力」は四位でトップグループに入った。
 ■中山成彬文部科学相の話 「要するに勉強しなくなったんじゃないか。もっと勉強しないと駄目だということを徹底しないといけない。日本が停滞している間に近隣諸国が追い上げてきて取り残されてしまう。老小国になってしまっては子や孫たちに申し訳ない」
 ≪授業時間の削減響く≫
 小野博・メディア教育開発センター教授(コミュニケーション科学)の話 「今回の結果は、直接的には、新教育課程によって教科の授業時間が削減されたことにあると考えられる。『総合的な学習の時間』の設定により、中学国語は週四時間から三時間になり、授業で内容を深く追究することが困難になっている。時間不足で読解力の育成が行えない結果、理解の裏付けのない言葉が上滑りした文章を生み出すことにつながっている。教育現場で平易な文章を多く読む地道な取り組みが重要だ」
 ≪「生きる力」問われる≫
 長尾彰夫・大阪教育大教授(教育課程論)の話 「読解力が下がったからといって『国語の時間を増やそう』と短絡的な反応をすべきでない。調査で問われているのは単なる国語力でなく、総合的な学力。世界学力コンテストでもないので『日本の子供は情けない』と嘆くのもやめてほしい。調査は参加国が自らの教育政策を問い直すためのものでランキングが目的ではない。ただ、今回の結果は文科省が目標としてきた『生きる力』の低下を示しており、文科省は真剣に受け止める必要があるのではないか」(産経新聞) 

 学習到達度調査:日本15歳の読解力低下 「少ない読書量」重く
 ◇15歳の読解力低下くっきり−−ネット普及、話し言葉まん延

 15歳の読解力に黄信号がともった。7日公表された経済協力開発機構OECD)の03年学習到達度調査(PISA)結果。数学や科学の活用力と対照的に、読解力は文部科学省が「2位グループ」と解釈した前回00年の8位から、加盟国平均水準の14位へと落ち込んだ。文科省は「新学習指導要領(02年度導入)の方向は間違っていない」と言うが、明確な処方せんはまだ見えない。【千代崎聖史】
 「読解力の結果は、重みがある」。文科省の常盤豊・教育課程課長は会見でこう語った。その重みが「我が国の学力は国際的に上位にあるが、最上位とは言えない」という総括に表れた。
 読解力には(1)文章などから情報を探し出す(2)解釈する(3)自分の経験・知識に結び付けて評価する−−の3側面がある。正答率が前回より5ポイント以上落ちたのは主に(2)で、設問形式では選択式よりも記述式だったという。
 今回の問題は非公開だが、前回は、落書きの是非を論じた二つの対照的な手紙を読ませて「共通する目的」を選ばせたり、どちらに賛成するか記述させる問題が出た。
 PISAは、「生きる力」を目指す新指導要領と同じ方向の力を測ると受けとめられてきた。しかし読解力では前回も、記述式の「無回答」が他国より多い問題点が指摘され、読書習慣がない生徒が半数に上ることも分かっていた。だが、前回結果を受けた文科省の新たな取り組みといえば、192校を推進校として読書活動などを進めるモデル事業ぐらいだった。
 中央教育審議会国語専門部会の委員で、「ゾウの時間ネズミの時間」の著者、本川達雄東工大教授は「読書量が影響している。携帯電話やインターネットのチャットで日本語が話し言葉だらけになってきた。読書量を増やし、書かせる訓練をすべきだ」と話す。
 「自分で考える力を重視する新指導要領と同じ方向へ世界は向かっているのに、文科省は守っていない。国語教育は『かさじぞう』のような鑑賞文や説明文で作者の意図を正確に読み取ることに力点が置かれすぎた」。「学力低下論」には批判的な加藤幸次・上智大文学部教授は「選択式などが幅をきかせる入試の在り方を変えるぐらいでないと難しい」とみる。
 苅谷剛彦・東大大学院教授は「数学でも前回より学力格差が広がっている。階層格差が拡大する危険な兆候だ。全国一律に導入した学校5日制は誤りで、文科省は学力保障の仕組みを考えるべきだ」と話す。
 ■国・地域別平均点と順位
 (同点でも順位が違うのは、小数点以下が違うため。各分野ともOECD平均は500点)
 <数学的活用力>
 (1)香港        550
 (2)フィンランド    544
 (3)韓国        542
 (4)オランダ      538
 (5)リヒテンシュタイン 536
 (6)日本        534
 (7)カナダ       532
 (8)ベルギー      529
 (9)マカオ       527
(10)スイス       527
 <科学的活用力>
 (1)フィンランド    548
 (2)日本        548
 (3)香港        539
 (4)韓国        538
 (5)リヒテンシュタイン 525
 (6)オーストラリア   525
 (7)マカオ       525
 (8)オランダ      524
 (9)チェコ       523
(10)ニュージーランド  521
 <問題解決能力>
 (1)韓国        550
 (2)香港        548
 (3)フィンランド    548
 (4)日本        547
 (5)ニュージーランド  533
 (6)マカオ       532
 (7)オーストラリア   530
 (8)リヒテンシュタイン 529
 (9)カナダ       529
(10)ベルギー      525
毎日新聞 2004年12月7日 東京夕刊

 皮肉にも、ここで見る限り『イギリス』や『アメリカ』の文字は見えない。
 今日の三役揃い踏み。──これらも『戦後の児童中心主義の教育観や旧文部省の「ゆとり教育」の弊害』か?

 殺人未遂:30歳長男が税理士の父を刺し逮捕 警視庁
 7日午前3時25分ごろ、東京都江戸川区南小岩7の税理士、小山博睦さん(75)方から119番があり、警視庁小岩署員が駆けつけたところ、小山さんが腹などから血を流していた。病院に運ばれたが重傷。無職の長男隆啓容疑者(30)が「自分が刺した」と認めたため、同署は殺人未遂容疑で現行犯逮捕した。
 調べでは、隆啓容疑者は同日午前3時10分ごろ、2階寝室にいた小山さんの腹などを果物ナイフ(刃渡り約11センチ)で数回刺し、殺そうとした疑い。
 小山さん方は妻(65)と隆啓容疑者の3人暮らし。隆啓容疑者は約3年前から無職で、ほとんど外出せず自室に鍵をかけひきこもりがちだったという。同署は仕事を巡って小山さんと口論になった可能性があるとみて追及している。【長谷川豊】毎日新聞 2004年12月7日 12時51分

 軽乗用車に男女3人の遺体、練炭集団自殺か 大分
 7日午前10時すぎ、大分県弥生町江良で「止まっている車の中で複数の女性が寝ているようだ」と県警に通報があった。佐伯署員が駆けつけたところ、軽乗用車の車内に男性1人と女性2人がいたが、既に死亡していた。車内後部に練炭が燃え尽きた七輪が三つあり、同署は集団自殺とみている。
 遺体で見つかったのは、大分市内の男性(19)と、宮崎市内の女性(26)、大阪府和泉市内の女性(42)とみられる。
 調べでは、車は大阪の和泉ナンバーで、林道わきの空き地に止まっていた。運転席に女性、助手席に男性、後部座席に別の女性がおり、それぞれシートに座ったまま死亡していた。車はドアがロックされ、窓は粘着テープで目張りされていた。
 現場は同県南部で、国道10号から林道を200メートルほど入った山中。付近はふだん人通りがほとんどないという。 (12/07 13:25)

 亜大野球部員5人逮捕、電車内で強制わいせつ未遂容疑
 JR中央線の電車内で集団で女性にわいせつな行為をしようとしたとして、警視庁は7日、亜細亜大学(東京都武蔵野市)の2年生5人を強制わいせつ未遂の疑いで現行犯逮捕した。5人は同大の硬式野球部員で、全員容疑を否認しているという。
 逮捕されたのは、いずれも東京都日の出町平井の同大学生寮に住む同大2年和田毅、樋口辰太郎、古吟和人、四丹健太郎、永田和範(いずれも20)の各容疑者。
 小金井署の調べでは、5人は7日午前8時15分ごろ、JR中央線上りの国分寺武蔵小金井間を走行中の快速電車の4両目で、神奈川県の無職女性(20)を取り囲み、服の上から下半身を触るなどした疑い。
 5人は先月30日朝にも、中央線の車内で乗り合わせた同じ女性に、わいせつな行為をした疑いがあり、相談を受けた鉄道警察隊員が警戒していた。
 同大ホームページによると、野球部は58年創部。全日本大学野球選手権で優勝するなどの強豪。広報課は「事実関係を確認中」としている。
 大学の運動部をめぐっては、国士舘大のサッカー部員15人が1日、当時15歳の少女にかわるがわるわいせつな行為をしたとして逮捕されている。 (12/07 14:07)