今日の産経新聞の主張は

■【主張】大学生の学力低下 国語教育の充実が急務だ

 大学生の国語力が低下している実態が明らかになった。小学校の小数、分数計算のできない大学生の存在は知られていたが、国語力の低下はそれ以上にショッキングな結果である。
 調査を行ったメディア教育開発センターの小野博教授によると、中学生レベルの国語力しかない大学生がここ数年間で急速に増え、「憂える」の意味を「喜ぶ」、「懐柔する」を「賄賂(わいろ)をもらう」と思い込んでいるという。外国人留学生にも劣り、授業に支障が出るケースもあるようだ。
 小野教授は「少子化のため、自己推薦など試験が必要ない入学が増えた」ことなどを原因として挙げているが、高校までに受けたゆとり教育が、より大きく影響しているとみられる。
 国語はあらゆる教科の基本である。国語力がなければ、算数や理科の応用問題も解けない。本来なら、他の教科より多くの授業時間が割かれるべきだが、学習指導要領ではそれだけの重要な扱いをされていない。
 国語も他の教科と同じ割合で授業時間を減らされてきた。平成十二年度からの改訂指導要領では、コミュニケーション能力の育成が重視され、文学作品の読解が軽視されるようになった。このため、小中学校の教科書から、夏目漱石の『坊つちやん』などの名作が次々と姿を消している。
 子供には、子供にふさわしい文学作品がある。それに親しむことにより、教養が自然と身についていくものだ。「読書百遍意自ずから通ず」ということわざがある。少し難しい作品であっても、いい文章は繰り返し声を出して読ませるべきだろう。
 改訂指導要領は漢字学習について、まず読み方を教え、書き方はその次の学年で教えるよう学年別漢字配当表で細かく指定した。小学校の教科書で、「心配」を「心ぱい」、「骨折」を「こっ折」などと表記する交ぜ書きが増えた。児童の学習負担を軽くしたつもりだろうが、これでは漢字の熟語を正しく覚えられない。書くことが難しい漢字でも、それにルビを振って読ませる努力が必要である。
 国語には日本の歴史と文化の伝統が宿り、それ自体が最大の文化遺産である。学力回復のためには、何よりも国語教育の充実が急務である。

 本当に学力が低下しているのかという疑問は別として、いろんな原因を学校教育やゆとり教育や教科書や日教組教育基本法などの中に持ってくる、その考え方に疑問を持たざるを得ない。

「愛する」と「大切に」は違う 教基法改正で阿部氏

 自民党安倍晋三幹事長代理は29日、都内で開かれた「教育基本法改正を求める中央国民大会」であいさつし、教育基本法改正での「愛国心」の取り扱いについて「自民党としては『国を愛する』(の表現)は譲れない一線だ」と強調した。
 安倍氏は、公明党愛国心について「国を大切にし」との表現にするよう求めていることに触れ「『大切に』と『愛する』とは全く違う。鉛筆や消しゴムを大切にしろ、とはいうが、愛せよとは言わない。では国家は鉛筆や消しゴム並みなのか」と述べた。
 「与党・教育基本法改正に関する協議会」が今年6月にまとめた中間報告は、愛国心の扱いで、自民党が主張する「国を愛し」と、公明党の「国を大切にし」の両案を併記している。(共同 1/29 18:02)

 民主党の西村眞吾衆議院議員は、2月25日の教育基本法促進委員会設立総会で、教育のあり方について「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す、お国のために命をささげた人があって今ここに祖国があることを子どもたちに教える。これに尽きる」と発言している。

 今、「ニート」という言葉がテレビや新聞などでやたら使われている。

 都立高:07年度から「奉仕」必修科目に−−「生き方見つける機会に」

 東京都教育庁は07年度から、都立高校全校に「奉仕」を必修科目として導入する方針を決めた。来年度は研究校を20校指定し、試験的にスタートさせる。就学も仕事も職業訓練もしない「ニート」と呼ばれる若者が増えているが、「社会と接し、自分の進路や生き方を見つける機会になれば」としている。同庁によると、都道府県レベルで奉仕活動を必修科目とするのは初めて。
 都立校201校は昨年度から、毎年11月に「ボランティアの日」を設け、うち15校で「ボランティア活動」を選択科目として単位認定している。しかし、「ボランティアの日」に参加する生徒は各校とも少数で、選択科目を履修するのも特定の生徒に限られている。
 「奉仕」は1単位(年35時間)で、うち10時間程度は座学。残りは福祉施設での生活支援、地域行事や児童、園児の野外活動の手伝い、森林の維持管理、河川、公園の清掃などを予定している。
 来年度から2年間、学識経験者によるカリキュラム開発委員会を設け、授業内容を決める方針。
 学校教育での奉仕活動をめぐっては、森喜朗首相当時の私的諮問機関「教育改革国民会議」で義務化が検討されたが、「自発的でないと意味がない」との批判が相次ぎ、見送った経緯がある。【田中義宏】(毎日新聞 2004年11月11日 東京夕刊)

 「彼らは『働かない』のではない。『働けない』のです。職場での人間関係を極度に恐れ、自分は働けないと思いこんでいる。不況など時代背景や教育、家庭などの要因が複雑に入り組んでいるのでしょうが、多くのニートたちが口にするのは『生きづらさ』です。これは今の若者全般の特徴にも重なっており、誰もが『ニート』になりうるともいえます」と玄田さんは強調する。

 精神科医香山リカ帝塚山学院大教授は「自分自身への不安や他人に対する恐怖があまりにも強いから、就職に意識を向けることができない若者が多い」