『リストカット』と『甘え』

 毎日新聞の夕刊に『リストカットの子どもたち』という連載記事が昨日まで載っていた。その中にこういうことが書いてあった。

  東海女子大長谷川博一教授(臨床心理学)は01〜02年、大学・短大計7校の学生約650人を対象に、子供時代の親子関係と現在の行動について約700項目のアンケート調査をした。「リストカットなどの自傷をしたことがあるか」という質問に、女子で7・6%、男子で2・4%が「はい」と答えた。女子では実に13人に1人の割合だ。
 米国の多くの専門家は、自傷者の6割前後が親から身体的・精神的虐待を受けていた、と指摘する。長谷川教授がリストカットと関係の深い要因を調べたところ、親のしつけに関しては、身体的虐待は9位にとどまった。「友人が来ると、親があとでその友人の悪口を言った」が最も強い関係があった。親が友人関係を強く監視したり、コントロールしようとしたことを示す別の2項目も10位までに入った。
 長谷川教授は「幼少期に親、特に母親から強い否定、監視、支配を受け、本当に伝えたいことを押し殺してきた子が多い。中学生くらいまでなら母親への働きかけでリストカットが治まるケースもある」と指摘する。

 『引きこもり』と『リストカット(自傷)』というのは、今の社会に巣くう病理の顕著な例だと考えている。そこにあるのは、今の社会の中では、子どもが子どもらしく生きられない。人間が人間として成長できない環境になってしまっている。
 それは、具体的には、『脳』がまともに成長できないということの他ならない。